【中日新聞】米から返還の日章旗「母に見せたかった」陸田さん、養老町長に喜び/Returned Japanese flag from the U.S. "I wanted to show it to my mother."
2023-08-02
【中日新聞】米から返還の日章旗...

米南部テキサス州の博物館に展示していた養老町出身の陸田繁義さんの「寄せ書き日の丸」と呼ばれる日章旗が七月二十九日、靖国神社(東京都)で長男の敏弘さん(83)に返還された。敏弘さんと次男の靖則さん(80)=いずれも養老町大跡=が一日に町役場を訪れ、川地憲元町長に喜びを語った。

 日章旗は日の丸の上に「武運長久」と書かれ、繁義さんの義父らとみられる九十四人の署名が日の丸を囲んでいる。入手経緯が分からないまま一九九四年に博物館に寄贈され、二十九年間展示されていた。

 敏弘さんは日章旗を手に帰宅した後、すぐに自宅にある母の仏前に供えた。父の記憶はほとんどないため、返還後は三人の子どもを育てた母の顔が浮かび「親戚など周りに助けてもらった。苦労してきた母に見せたかった」と思いを巡らせたという。

 戦争の悲惨さを後世に伝えるため、日章旗は靖国神社への展示を検討している。敏弘さんは「若者に戦争の裏でどれだけ悲劇があったのか考えてもらう史料になれば」と力を込める。

 川地町長は「よく返還してもらえた。八十年の歴史には重みがある」と話した。 

https://www.chunichi.co.jp/article/740695?rct=gifu