朝日新聞/出征兵士の日章旗が遺族の元へ「戦争あってはならぬ」思い強める(Japanese Newspaper featured Flag return in Akita Prefecture )
2022-10-15
出征兵士の日章旗が遺族の元へ 「戦争あってはならぬ」思い強める
第2次世界大戦に出征し、22歳で戦死した秋田県美郷町(旧六郷町)の藤岡長右エ門さんが戦地に携えた日章旗が14日、おいの深田重雄さん(65)のところに戻ってきた。深田さんは「帰ってこられてよかった。戦争はあってはならない」との思いを強くした。
町によると、藤岡さんは8人兄妹の長男。陸軍に所属して出征し、1944年にニューギニア・ホーランジアの密林地帯で部隊(約450人)のほとんどとともに戦死したという。
日章旗はB25爆撃機の操縦士だった米兵が戦地から持ち帰り、譲り受けた子どもが米国の返還活動団体を通じて日本遺族会に連絡した。町の調査で、重雄さんの母である深田アツ子さん(86)が藤岡さんの妹だと判明したという。
町役場であった返還式では、町遺族会の立ち会いのもと、松田知己町長が重雄さんに手渡した。日章旗は地元荒川地区の自治会が贈ったものとみられ「祝応召 藤岡長右エ門君 荒川常会一同」とあったが、かすれていた。全体が薄茶色に変色し、一部に濃いシミがつき、左下は破れていた。
重雄さんが、アツ子さんから戦死した兄がいると聞いたのは数年前のこと。日章旗を前にし、「身につけてどんな場所か分からない所で国のために戦った。帰ってきたかったのだろう」と戦死した伯父を思いやっていた。(山谷勉)https://www.asahi.com/articles/ASQBG7H9QQBGULUC00D.html?iref=pc_photo_gallery_bottom