【読売・京都】父の日章旗 おかえり/【Yomiuri NP・KYOTO】Father's Day Flag Welcome Home
2024-07-26
綾部出身 ビルマで戦死 79年かけ娘らの元へ
八坂神社のご朱印 手がかり
第2次世界大戦中にビルマ(現ミャンマー)で亡くなった綾部市出身の旧日本兵、岡部辰美さんが持ち歩いていた日章旗が14日、遺族に返された。英兵が持ち帰り、その家族が返還先を探していた。八坂神社のご朱印が手がかりとなり、返還にこぎ着けた。(松田聡)
岡部さんは京都市に移り、洋服店で働いていた。召集で「祭兵団」といわれた第15師団に所属。「祈 武運長久」との筆書きと、167人分もの署名がある日章旗を持って戦地に。大勢の犠牲者が出たインパール作戦に動員され、終戦間際の1945年6月、タイ入国前に亡くなったとされる。
英兵の家族が戦後75年を特集したテレビ番組を見て、日章旗には戦場での無事と活躍への祈りが込められていると知り、日章旗返還に取り組む米国のNPO「OBONソサエティ」に連絡した。
同NPOの遺族調査は難航したが、旗に八坂神社のご朱印があったことから、京都にゆかりがあると推測。本籍地の旧細見村(現福知山市)に同姓の人がいるとわかり、その人から、遺族が大阪市にいるとの情報がもたらされた。
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大阪市住之江区の大阪護国神社で14日、同NPOは長女の芙佐子さん(86)らに日章旗を返した。芙佐子さんは日章旗を手に「亡くなった母が喜ぶでしょう。仏壇に供え、孫にも見せたい」と話した。
芙佐子さんによると、召集される前日、銭湯に連れていってもらったという。「(父は)洋楽が好きでレコードを聞いていたようでした。コーヒーを飲み、ビリヤードやスキーもしたと。亡くなった後、母(あい子さん)が骨箱を、私は写真を持って歩きました」と振り返った。
同NPO共同代表の敬子・ジークさん(56)は「店や取引先の人たちが旗に願いを込めたのが伝わってくる。79年をかけ、家族の元に戻りたいという岡部さんの思いがかなえられてよかった」と話した。