北海道新聞/旧日本兵の日章旗、古里の常呂に住む妹へ 元米兵の親族が保管 道内4例目(Japanese Newspaper featured flag returning in Hokkaido)
2021-10-31
北海道新聞/旧日本兵の日章旗、...

【北見】太平洋戦争中の1942年(昭和17年)8月に、ソロモン諸島のガダルカナル島で戦死した北見市常呂町(旧常呂村)出身の新江繁規さん(享年23歳)が戦地で持っていた日章旗が11月6日、新江さんの妹で同町に住む中股かず子さん(93)ら遺族に返還される。元米軍パイロットの親族が長年保管し、旧日本兵の遺品返還を進める米国の非営利団体「OBONソサエティ」の仲介で実現した。

日章旗を持ち帰った元米軍パイロットのルイス・ソワーズさん(2001年没)の親族が、テレビで日章旗に関する番組を見たのがきっかけで19年6月に同団体に連絡。札幌在住の同団体スタッフ工藤公督(こうすけ)さん(47)が約2年かけて遺族を探し出し、今年8月に道連合遺族会を通じて中股さんに連絡した。

同団体や中股さんによると、新江さんは盛岡の旧陸軍予備士官学校を経て旭川の旧陸軍第七師団に所属。同師団で編成された一木支隊の「熊第九二〇七部隊」としてガダルカナル島へ移動した。42年8月20日夜、米軍に占拠された飛行場の奪還を試みたガダルカナル島の戦いで、同隊は待ち伏せしていた米軍の攻撃を受け全滅した。新江さんは翌日この戦いが元で死亡したとみられる。

日章旗は縦70センチ、横95センチ。「贈 新江繁規君」「不惜身命」などの寄せ書きがあり、出征時に渡された可能性が高いという。中股さんは、「兄の遺品はほとんど残っておらず、日章旗が戻るのは兄が帰ってきたのと同じ。感無量です」と感謝する。

2009年から活動するOBONソサエティは、これまでに全国で400枚以上の日章旗を返還。道内では15年の札幌、千歳、今年8月の空知管内雨竜町に続く4例目となる。

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/606160?rct=n_society