【中日新聞】たすきや千人針を遺族の手に 彦根で戦争遺留品返還式(Return Ceremony in Hikone)
2024-02-07
【中日新聞】たすきや千人針を遺...

たすきや千人針を遺族の手に 彦根で戦争遺留品返還式

戦争で亡くなった人の持ち物を遺族に届ける「戦争遺留品返還式」が6日、大津市内のホテルで開かれた。彦根市の岸田五典(いつすけ)さん(79)に、戦死した兄の長次郎さんのたすきと千人針が返還された。

 たすきは日章旗をたたんで縫い合わせて作られており、「岸田長次郎君」「亀山村」と書かれていた。亀山村は現在の彦根市にあたる。千人針は武運長久を祈って布に糸を縫い付けたもので、出征する兵士のお守りとされた。

 長次郎さんは陸軍軍曹で太平洋戦争末期の1945年7月5日、フィリピン・コタバト州マリダガオで戦死したという。当時28歳で、遺骨などは戻らなかった。長次郎さんと五典さんは親族関係ではあるものの、ともに岸田家に養子縁組された戸籍上の兄弟で、直接会ったことはないという。

 日本兵の遺品を遺族に返還する活動を続ける米オレゴン州の非営利団体「OBONソサエティ」から厚生労働省や日本遺族会を通じて滋賀県遺族会に遺族の捜索依頼があり、昨秋に岸田さんが遺族だと判明した。

 三日月大造知事から遺留品を受け取った岸田さんは「国のために戦ってくれた人たちがいたからこそ、今の私たちがいる。仏壇に供えて供養し、永久的に保存していきたい」と感謝した。