読売新聞/日章旗80年ぶり故郷に 南太平洋で戦死、神埼出身・佐藤さん遺品(Japanese Newspaper featured Flag return in Saga Prefecture )
2022-10-12
日章旗を受け取った遺族の佐藤淑...

日章旗を受け取った遺族の佐藤淑子さん

太平洋戦争中、南太平洋のニューギニアで1943年に戦死した神埼市脊振町出身の佐藤守男さん(当時24歳)の所持品だった日章旗が11日、米国の軍事博物館から遺族に返還された。遺族たちは約80年ぶりに故郷に帰った遺品を前に、感慨深げな表情を見せた。


 旗は、親族らが激励の言葉を寄せたとみられ、「武運長久祈る」「佐藤守男君万歳」「滅私奉公」「 往い け軍旗の基に」などと戦時下を思わせる言葉が並んでいる。

 遺品返還活動を行う米オレゴン州のNPO法人「OBONソサエティ」によると、日章旗は戦後まもなくから米ニューメキシコ州の軍事博物館に保管されていたが、経緯は不明という。2019年に同館から返還したいと同法人に引き渡された。その後、書かれた寄せ書きを頼りに県遺族会などが佐藤さんの遺族を探し出した。

 同法人はこれまで約500の日章旗の返還に携わった。元米兵やその遺族らから依頼を受ける場合が多く、軍事博物館からは今回が初めてだ。同法人の工藤公督さん(48)は「当時の米兵たちは戦利品として日章旗を持ち帰っていた。現在は旗に寄せられた思いについて理解が広がっている。米軍関連施設からの返還はその象徴だ」と意義を語る。

 返還式がこの日、佐藤さんが通った小学校の分校跡である同市脊振町の鳥羽院山荘で行われ、義理の妹の淑子さん(80)(佐賀市)が日章旗を受け取った。

 淑子さんは「会ったことはないが、今は亡き(佐藤さんの)母から『優しい人柄だった』と毎日のように聞いていた」と振り返り、「 御霊みたま として仏壇に持って行き、『今帰ってきたよ』と(佐藤さんの)両親に伝えたい」と感慨深げだった。https://www.yomiuri.co.jp/local/saga/news/20221011-OYTNT50050/?fbclid=IwAR1o44SHLSs3zzh_3JsAOjYw5EzE0YTkg37VOXlv6n_Id3xWKm-UhNZoS2M